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左官工事とは?その概要と種類について解説

モルタルや壁土を使って建物の壁や床の下地を造り、仕上げていく左官工事。歴史ある城や寺院の建築においても、多くの左官職人が活躍してきました。手軽な壁紙などに押され、一時は減少傾向にあった左官工事ですが、漆喰や珪藻土といった自然素材の仕上げ材が見直されるようになり、再び脚光を浴びてきています。
ここでは、左官工事とは何か、その種類や工事の目的を含めて解説します。

左官工事の仕事は下地造りと仕上げ塗りの2種類

モルタルや壁土といった材料を使って、建築物の床や壁を塗り固めていくのが左官工事です。手にしたコテを自由自在に動かして、壁を塗っていく職人の姿を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。一般的に左官工事というと、建築物の表面部分の仕上げを担うイメージが強いかもしれませんが、実際には壁の基礎となる下地造りが多くを占めています。
左官工事の仕事は、大きく次の2つに分けることができます。

壁の下地造りは、建物の竣工時に表に出ることは少ないものの、これがなくては壁造りが成り立たない重要なプロセスです。仕上げがペンキやタイル張りの場合などは、仕上げを活かすための下地造りのみの作業になる場合もあります。

仕上げ塗りは、壁などの表面を塗って仕上げる作業です。土壁や漆喰壁の場合は、下地を造った後で中塗りを重ね、最後に漆喰や珪藻土を使って上塗りを行い、表面全体を仕上げていきます。塗り方によって耐久性にも影響が出るだけでなく、コテの動いた跡がそのまま壁の模様になることもあるため、職人には卓越した技術と芸術性が求められます。
なお、仕上げ塗りでよく使われる上塗りの材料は、次の5つです。

・土
土は、その種類によって壁の表面に個性が出る材料です。基本的には、和室に多く用いられます。

・砂
砂を材料として使うと、滑らかな仕上がりになるのが特徴です。和室や茶室のほか、客間や洋室にも使われます。

・漆喰
漆喰は、石灰石に砂や糊などを加えて水で練り上げたものです。漆喰は、呼吸する材料だともいわれ、湿度の高い時期は水分を吸収し、乾燥する時期は水分を放出して部屋の中を快適に保ってくれます。古くは蔵の壁に多く使われ、その湿度調整ができる特徴によって貴重な収蔵品を守ってきました。
漆喰の主な原料である石灰石は不燃性で防火性が高いこと、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを吸着・除去してくれることから、現代の住宅にも多く取り入れられています。

・プラスター
プラスターは、鉱物質の粉末を水で練った石灰または石膏のことをいいます。白く美しい輝きが特徴で、漆喰壁に似ていることから西洋漆喰と呼ばれることもあります。

・珪藻土
海や湖、川の底に堆積して化石化した植物プランクトンの死骸が珪藻土です。完全な自然素材で有害な化学物質を含まないため、アトピーやシックハウス症候群といったアレルギー症状を引き起こす心配がありません。吸水性、耐火性、断熱性に優れているので、暮らしを守るという意味でも注目されている素材です。

左官工事の現場

左官工事が行われる現場は、大きく町場と野丁場の2つに分類されます。

個人の木造住宅や店舗などの壁を担当する現場のことを町場といいます。部屋によって塗る材料を変えるなどして、暮らしやすさに配慮した作業を行います。

中層〜高層のマンション、ビル、ショッピングモールなど、大規模な建築物の現場を野丁場といいます。町場に比べて大規模な工事が必要になるため、広い面積を均一かつスピーディーに塗り固められる機械を使用する場合もあります。
また、野丁場の壁の下地は、コテの跡が残らないよう、繊細な仕上げが求められます。下地のクオリティが低いと、塗装された壁に太陽光があたったときなどに、見た目の悪さが際立ってしまうのです。塗装して表面的には見えなくなる部分であっても、細部まで丁寧に、滑らかに塗り固めることが重要です。

左官工事の内容

では、町場、野丁場において、具体的にどのような左官工事が行われているのかを紹介します。

玄関やマンションのエントランスの床を仕上げる際には、珪藻土を使って湿度と温度を保つ実用性と、美観を保つデザイン性の両立が重要になります。床だけでなく、門扉から玄関までのあいだに設けた小道の仕上げなども左官工事での作業のひとつです。

サッシ周りにモルタルを詰めていく作業も左官工事になります。リノベーションなどでサッシを交換する場合には、その周辺のモルタルも補修する必要が出てきます。下地造りと同様、細かい部分まで凹凸がないように、モルタルを詰めていく作業です。

現場で打設したコンクリートをそのまま活かした壁や床のコンクリート打ち放しは、人気の仕上げです。しかし、コンクリートがむき出しの状態では環境による劣化が進みやすく、粉吹きやカビなども発生しやすいため、壁の上に保護剤であるトップコートを塗って仕上げるのが一般的です。
コンクリート打ち放しの壁にひび割れや、締め固め不足などの打設不良が起きてしまった場合、コンクリートをすべて打設し直すのは困難なため、左官職人がコンクリートに似せた模様をつけて補修をします。

地面を掘ってその底部に砕石を敷き詰め、コンクリートを流して固めることを土間打ちといいます。表面を滑らかに、美しく仕上げる技術が必要になります。

左官工事が必要とされる理由

建物を造る上で、左官工事は非常に重要な役割を果たしています。左官工事が必要とされている理由を紹介しましょう。

左官工事は、床や壁の耐久性を高める重要な役割があります。下地造りは、壁や床の仕上がりを左右する重要なポイントです。仕上げにどれだけ良い材料を使っても、下地の出来が良くないと、ひび割れなどの欠陥が生じてしまいます。

壁や床を美しく仕上げられるのも、左官工事が必要とされている理由のひとつです。職人の技によって造られた漆喰壁や土壁は、見る人が思わずはっと息を飲むほどの美しさ。コテの使い方によって変わる風合い、そしてつなぎ目を感じさせない仕上がりが魅力です。
左官職人が手仕事で塗った壁は、ひとつとして同じ物がありません。住宅の細部までこだわる人、自分たちだけのオリジナルの住まいが欲しい人には、左官工事による壁や床は最適です。
また、左官工事は近年、自然素材に注目が集まったことなどによってその良さが見直されるようになりました。職人が生み出す美しい壁や床は海外からの評価も高く、日本文化を形に残し、職人技を伝えていくという意味でも左官工事は重要です。

左官工事で壁や床を塗るときに使われる素材は、土や珪藻土、漆喰といった自然素材がほとんどです。アレルギーやシックハウス症候群を引き起こす物質を含まないため、リフォームの際にこうした素材を選ぶ人が増えています。

芸術性と実用性を兼ね備えた左官工事

左官工事は、建築物の壁や床などの下地造りや仕上げを担う仕事です。基本的に職人の手仕事であり、繊細な技術が求められます。
漆喰や珪藻土といった自然素材の良さが注目されつつある今、その重要性も再認識されてきているといえるでしょう。

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